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日本では65歳以上の方の4人に1人は、難聴の症状があり補聴器が必要だと言われています。しかし軽度の難聴であれば、気づいていない人(気づかないふりをしている人)が多いのが現状です。難聴は早期に発見してそれ以上悪化させないように対処することが一番大切なのですが、多くの方が感じている難聴に対するマイナスイメージも発見の妨げになっているようです。

では、なぜ私たちは難聴に気づかないのでしょうか?理由はその人により様々かもしれませんが、主な原因としては以下のようなことが考えられると思います。

難聴の発見を妨げる主な原因

  • 聴力は視力とは違い、すぐに不便さを感じにくい
  • 徐々に症状が進行するタイプの難聴は気づきにくい
  • 世界の言語の中で、日本語は最も周波数の低い言語

聴力は視力の低下とは違い、すぐに不便さを感じにくい

私たちは視力が低下して見え難いと感じたら、眼鏡やコンタクトレンズを装着します。しかし聴力に関しては、多少聞こえ難いと感じたくらいで補聴器をつける方は少ないです。視力が低下して見え難くなれば、用具に頼らないと生活が不便になります。一方で聴力の場合は、相手の声の大きさや雰囲気、口の動きなどでも言葉を理解しやすいので、多少聞こえが悪いくらいでは不便に感じることはそうそうありません。

多くの人は視力には関心を持っていても、聴力に関心を持っている人はすでに難聴を患っている方以外ほとんどいません。実際に視力を聞かれると「両目ともに1.5です」とか「0.2くらいしかありません」とか答えれる人は多いですが、聴力に関しては「40dB程度は聞こえます」なんて答えれる人はほとんどいません。

徐々に進行する難聴「老人性難聴」は気づきにくい

いくつかの難聴の種類の中でも、突発性難聴であれば急に耳が聞こえなくなるので異常に気づきます。しかし「老人性難聴」の場合は、徐々に症状が進行することが多いので自覚しにくいのが現状です。

難聴の主な原因は、単純な「加齢」ではなく「騒音」と「動脈硬化」という研究結果が発表されていますが、私たちの間では「年を取れば自然に聞こえが悪くなるもの」という認識がとても強いです。そのため聞こえの悪さを難聴ではなく「年のせい」として捉えてしまうことも発見を遅らせる一つの要因です。

また、難聴(聴力の低下)には「年寄り」というマイナスイメージがあり、なかなか自分で難聴を自覚したがらない方が多いのも事実です。

日本語は、世界で一番難聴に気づきにくい言語?

加齢性の難聴の場合、周波数の高い音から順番に聞こえが悪くなります。音の振動を電気信号に変換する「有毛細胞」は、周波数の高い音ほど動きが激しくなるので、周波数が高い音を担当する有毛細胞から先に劣化していくのです。

日本語は世界で一番周波数の低い言語だと言われていて、頻繁に使用される周波数は125Hz~1,500Hzです。(英語の場合は2,000Hz~12,000Hz)周波数の高い言語を使う国であれば早い段階で不便に感じるのですが、日本語の場合はすぐに不自由を感じることが少ないのです。

実際に補聴器の普及率を見ても、日本は海外の半分以下というデータもあります。困っていないから別に大丈夫という方が多く、聴力への関心の低さが表れているのかもしれません。

難聴を認める勇気、難聴に気づく大切さ

難聴は誰にも起こりうる身近なトラブルで、決して恥ずかしいものではありません。にもかかわらず「年寄り」という変なマイナスイメージのせいで、「認めたくない」「難聴は恥ずかしい」と思っている方が多いのも事実です。

たいして困っていないからといって軽度の難聴を放置していると、症状はどんどん悪化してしまいます。耳の聞こえが悪くなるだけではなく、コミュニケーション障害や学習障害、うつ病、脳への刺激の低下による認知症のリスクもあります。

難聴は今のところ薬による治療は困難なので、一刻も早く難聴に気づき症状をこれ以上進行させないことが何よりも大切です。「もしかしたら」と思う節があれば、難聴を疑って一度お医者さんに相談することをお勧めします。

難聴に気づきにくい理由のおさらい

  • 少し聞こえ難いくらいでは、そこまで不便に感じない。
  • 老人性難聴は徐々に症状が進行するので分かりにくい。
  • 日本語は周波数の低い言語なので、すぐに不自由を感じることがない。
  • 症状の悪化や他の病気の併発を防ぐために、早期の発見・治療が大切。

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